「サガ2秘宝伝説」小説 [IN VENUS CITY]

神つくパラダイス > GBサガギャラリー > 「サガ2秘宝伝説」小説(電猫さん)

電猫さんから頂きました。(2000.03.09)

       死闘の果てに [IN VENUS CITY]        
袈裟懸けにビーナスに斬りつけた瞬間。使い込まれた日本刀が澄んだ音を立てて砕けた。
「ちっ。」
ミネルバは舌打ちをして、折れた刀を投げ捨て、同時に背負っていたミスリルソードを抜き放った。
ミスリルの重厚な刀身がステンドグラスの光を反射して、鈍く輝く。
(まずいわね。やっぱ火山の蒸気がいけなかったかな。いい刀だったんだけどな・・・。)
内心の動揺を隠しつつ、後ろへ大きく跳んでビーナスとの間合いを取る。

一瞬ビーナスは、げっ、という表情を見せ、自慢の美貌を崩した。
今の一太刀でミネルバの腕がわかったのだ。力もスピードも、かなりの技量の持ち主だと。
ビーナスは何もないこの地に都市を造った神だ。戦いの経験もある。
焦ったビーナスは電撃ムチを振り上げ、ミネルバに叩きつけた。
衝撃と激痛。熱い電撃がミネルバの体を這う。自由を奪われ、倒れるミネルバ。体中に苦痛が拡がる。
それを眺めるビーナスに、歓喜の表情が浮かんだ。
サディスティックな悦楽に顔を歪めたビーナスが、さらにもう一撃を加えようとする。

重低音の爆発音。そして衝撃波。ステンドグラスが砕け、教会の建物が大きく震える。
至近距離で手榴弾が炸裂し、ビーナスが大きく後ろに吹き飛ばされる。
ビーナスは直ぐに体を起こし、そちらを睨みつけた。
白煙を上げた発射器でビーナスを狙ったままの、イーグルが後方から現れた。
「美を理解できぬ哀れな機械が・・・」
ビーナスが憎々しげなつぶやきとともにイーグルの方に体を向けた瞬間。
一条の破壊光線がビーナスの体を薙ぐ。
苦悶の悲鳴をあげ、のたうつビーナス。トリトンの放った光線だ。巨大な目玉、としか表現できない姿をした、ゲイザーのトリトン。彼が放つのは鋼鉄も撃ち抜く強力な光線だ。

「醜い虫けらどもがっ!!神に向かって・・!!!」
ビーナスは火球を作り出し、全員に火炎放射を浴びせた。

灼熱の波動が通り過ぎた後。パーティは惨憺たる有様だった。すぐにエスパーのヘリオスがケアルを唱え、回復にまわる。しかし、そのタイムラグを見逃すほどビーナスも甘くなかった。
再びムチがミネルバに振り下ろされ、電撃が弾けた。ビーナスは苦痛を与える悦びに浸りつつも攻撃の手を緩めない。主戦力のミネルバを先に潰した後パーティを焼き尽くすつもりか。

激痛に耐えつつ必死でミスリルソードを構えるミネルバ。もはや気力も体力もない。
魔法に弱いイーグルの消耗も激しい。ヘリオスの魔法はビーナスには効かない。トリトンの破壊光線は強力だが、第二射にはまだ時間がかかるだろう。ビーナスは、次の火炎放射で終わらせるつもりらしく渾身の力で火球を作り出しているのが見える。
「やばいよ、こりゃ・・・。」
ミネルバは、弱々しくつぶやいた。珍しく弱気になっているのが、自分でもわかる。
「あれ、・・・。」
痺れは残っているが、ほとんどの傷が治っている。ヘリオスがケアルを全力でかけたのだ。
いつもは頼りになるヘリオスだが、今回は仮にも「神」を名乗る敵だ。得意の魔法が効かない。
「すまない、ミネルバ・・・・・・。」
悔しげな、小さな声が聞こえたような気がした。

ミネルバは唐突に故郷を思い出す。あの日の故郷を。故郷でのヘリオスを。剣には自信あったのに。秘宝探しの手伝いをしてあげるってヘリオスと約束したのに。あの日、旅立ちの日に約束したのに。
こんなときこそ、あたしの剣が役立つときなのに。
(約束したのに。ごめんね、ヘリオス・・・・。)

そうだ、ヘリオスは、父さんが目の前で自爆したんだっけ。その遺志をついで秘宝を集めているんだ。
やっとかなりの秘宝が集まったというのに・・・。
それを、こんなところで、こんなやつに。こんな傲慢な偏執狂の醜い女神に・・・。

「ちっきしょ、負けてたまるかあ!!」
ミネルバに闘志が戻る。ヘリオスのケアルで味方の体力も回復した。しかし、ビーナスの火球はますます膨張してゆく。周囲が眩くなるほどだ。イーグルとトリトンの攻撃は、まだだ。
間合いが遠すぎる。ミネルバの剣がビーナスに届くより早く、火炎放射が浴びせられるだろう。
まともに突撃しても、間に合わない。

視界の片隅に、何か映る。動けないアントニーを抱きとめているオリビアだ。端整な顔を自らの血で紅に染めている。激しい死闘の傍らにいるが恐れはないようだ。しっかりした、けれど愛情に満ちあふれた視線を腕の中のアントニーに向けている。
ミネルバは思う。彼らの幸せのためにも。何とかできるのはあたしたちだけなんだ。
そしてもう一体。黒い体。ユリウスだ。「ひー」とか叫んでるようだが、逃げなかったのか。それとも腰でも抜けたのか。

  ・・・・・・・。  み・つ・け・た。 
ミネルバは、ユリウスに手をさしのべた。
「ユリウス。こっちよ。」
ユリウスは、助けてを求めて、手を伸ばした。ミネルバは、その手を自分のほうへ引き寄せる。


「死んでこおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉいぃぃぃぃぃっっっ!!!!!!!!!!!!」
  

ミネルバは、引き寄せたユリウスをそのままビーナスに向かって蹴り出した!!

ビーナスもこれは予想しなかったようだ。驚愕で美貌が凍りつく。そこへユリウスが激突した。
混乱したビーナスは、魔力の制御を失い、火の玉は暴走し、一気に膨れあがり弾けた。

巨大な火柱が上がリ、教会の天井を突き破る。ビーナスもユリウスも爆炎に巻き込まれた。
衝撃波で建物が揺れ、高熱で息もできない。
ビーナスに炎は効かない。しかし爆炎で視界はさえぎられている。
「この醜い女神!消えてなくなれぇぇぇっ!!」
炎の嵐を切り裂き、ミネルバが火だるまのビーナスに踊りかかった。烈火に赫く照らされる姿は、壁画に描かれた戦いの女神だ。鈍色の軌跡を描き、正確に繰り出されるミスリルソードの斬撃が、ビーナスの生命を着実に削っていく。
そこへ、トリトンのビームが一閃。一瞬間をおいてイーグルが発射した手榴弾が着弾・炸裂する。

重く、低い爆発音とともに、ビーナスの体が四散した。

「・・・・・終わったね。」
「ああ、終わった。」
ビーナスが、爆発の中に消えた後。満身創痍のミネルバと気力の尽きたヘリオスは、その場に座り込んで言葉を交わした。
「だけど、よくあんな無茶なこと。ユリウスは・・・?」
「無茶をしなきゃ勝てないよ。でもいい作戦だったでしょ?大丈夫よお、ユリウスは。」
不安げなヘリオスに、ミネルバは得意げに笑って答える。
「だって、ユリウスって悪魔族でしょ?悪魔は炎に強いって有名じゃない。学校で先生も言ってたじゃないの。」
その言葉に、戦闘後のメンテナンスをしているイーグルが反応した。
「ソレハ高位ノ悪魔ノ場合デスネ。ワタシノでーたべーすニハソノヨウニ記録サレテマス。」
イーグルの言葉に、一瞬沈黙するミネルバ。しかし動揺しつつも反論する。
「え、だって・・・ほ、ほら。ユリウスってビーナスのお気に入りじゃない。だから高位よ。うん。」
「いやしかし、ビーナスに気に入られてただけでそんなこと・・・」
そういって、ヘリオスは、はっと現実に気づく。
「こんなこと言い合ってる場合じゃない!早くユリウスの治療しなきゃ!!」


「どうもありがとう!!」
アントニーとオリビア、ユリウスはヘリオスたちに礼を言うと去っていった。
ユリウスがミネルバに向ける視線に、怯えが混じっているような気がしたが。まあいいか。気にはしない。
ユリウスは無事だった。高位ではなかったが、魔族の血を引いた彼の皮膚は爆炎に耐えたようだ。
万一怪我をしても、ヘリオスのケアルなら治ってしまうだろうし。ミネルバはそう信じていた。
「いいなーああいうのって」
ミネルバが小さくつぶやく。三人の仲の良さか、アントニーとオリビアのことか。
何のことか、ヘリオスにはわからない。トリトンやイーグルにも。呟いたミネルバにもわからなった。
秘宝集めの戦いは、まだ続くだろう。血みどろの死闘もあるかもしれない。
「でもいつかは、秘宝、集まるよね。そしたら、故郷に帰って・・・。」
ミネルバは、そう思った。その思いが、目の前の幸せな光景を見ていたら現実になりそうな気がしたのだった。
   ―さまざまな思いを抱きつつ、彼らはビーナスの街を後にした―
                                        (了)

コメントとお礼の言葉

サガ大事典、パロディ小説部門への投稿ですけども、こっちにももちろん掲載でぃすよ☆

ありが塔!

感想は、サガ掲示板などにどうぞ。

作品の転載は許可致しておりません。他所の掲示板、ブログ等への転載は禁止です。特に画像の直リンクでの転載につきましては、サーバーの規約違反となりますのでアクセス制限(サイト入場禁止)等の処置をすることがございます。無関係の方には申し訳無いのですが、最近ひどいので警告致します。